珍しい特殊な姿をしていることは、本人にとってよいことなのだろうか。ごく普通の姿になることで失うものも多そうだ。エドアルド・デ・アンジェリス監督の『切り離せないふたり』は結合双生児の姉妹の心と体の物語である。
ビオラとデジーは腰や太ももが結合した結合双生児の姉妹だ。結婚式などで歌を歌うことで一家の家計を支えている。 結合双生児であることが彼女たちの売りなのだ。18歳になったある日、スイスの医師からふたりの体は手術で分離可能であることを知らされる。デジーは普通の体を望み、ビオラは分離に尻込みする。デジーはビオラを押し切り、手術費用を工面するためにスクーターに乗って家を飛び出す。
ふたりは普通になるべきなのか。姉妹は葛藤しながら手術費用を得るための旅を続ける。彼女たちが結合双生児であるゆえに、彼女たちから恩恵を受けている人々は、ふたりの体を切り離すなどもってのほかだと考えるだろう。
曇天の夕暮れ時の淡い光を多用した撮影が現実の世界から遊離したかのような印象を与える。セリフは控えめだが、要所要所にシンガーソングライター、エンツォ・アビタービレの音楽が挿入され、彼女たちの心情を代弁しているかのような役割を果たす。
結合双生児をテーマにした作品として、映画ではブライアン・デ・パルマ監督の『悪魔のシスター』やフランク・ヘネンロッター監督の『バスケットケース』など、ホラー系の作品が多く作られている。そうしたなか、『切り離せないふたり』は、結合双生児の心を素直に表現した稀有な作品となった。
(2017年5月6日、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭2017)(矢澤利弘)
ビオラとデジーは腰や太ももが結合した結合双生児の姉妹だ。結婚式などで歌を歌うことで一家の家計を支えている。 結合双生児であることが彼女たちの売りなのだ。18歳になったある日、スイスの医師からふたりの体は手術で分離可能であることを知らされる。デジーは普通の体を望み、ビオラは分離に尻込みする。デジーはビオラを押し切り、手術費用を工面するためにスクーターに乗って家を飛び出す。
ふたりは普通になるべきなのか。姉妹は葛藤しながら手術費用を得るための旅を続ける。彼女たちが結合双生児であるゆえに、彼女たちから恩恵を受けている人々は、ふたりの体を切り離すなどもってのほかだと考えるだろう。
曇天の夕暮れ時の淡い光を多用した撮影が現実の世界から遊離したかのような印象を与える。セリフは控えめだが、要所要所にシンガーソングライター、エンツォ・アビタービレの音楽が挿入され、彼女たちの心情を代弁しているかのような役割を果たす。
結合双生児をテーマにした作品として、映画ではブライアン・デ・パルマ監督の『悪魔のシスター』やフランク・ヘネンロッター監督の『バスケットケース』など、ホラー系の作品が多く作られている。そうしたなか、『切り離せないふたり』は、結合双生児の心を素直に表現した稀有な作品となった。
(2017年5月6日、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭2017)(矢澤利弘)