研究者ギャングたちが今度はマッポの手先に。『スケバン刑事』か、はたまた『ターミネーター2』か。シドニー・シビリア監督の『いつだってやめられる マスタークラス』は、高学歴ワーキングプアの研究者たちが脱法ドラッグを密造して一儲けする姿を描いてヒットした『いつだってやめられる』の続編である。もっとも、3作目も同時に撮影しており、本作は三部作の中間部にあたる。

 前作のラストで投獄された神経生物学者のピエトロ・ズィンニは、女性警部のパオラから警察への協力を打診された。脱法ドラッグはその名のとおり、事前にそのドラッグが違法薬物に指定されていなければ違法とはならない。そこで、街で取引されている脱法ドラッグを秘密裏に入手し、その成分を分析して違法薬物の指定をするために、力を貸してほしいというのだ。チームを再結成し、ミッションを成し遂げれば前科を帳消しにするという。かつてのメンバーに新たな戦力を加えたチームは次々と脱法ドラッグを入手して分析。警察の検挙率を飛躍的に改善させる。だが、最後に残った「ソポックス」というドラッグについてはどうしても成分が分からなかった。事件はさらに大きなうねりを見せ始める。

 とにかくスピード感のあるコメディーだ。『七人の侍』のように、世界中に散っている一癖も二癖もあるような研究者を国外から呼び戻し、今度は警察の手先となって悪者を片付けていく。いかにも研究者らしい理屈っぽいキャラクターたちの行動が笑わせてくれる。実際、優秀だが食えないという研究者たちは世界規模で存在する。彼らの底力を発揮した活躍に拍手を送りたくなるだろう。

 『スターウォーズ』や『バック・トゥー・ザ・フューチャー』シリーズの2作目と同様、本作は3作目につながるような構成になっており、ストーリーがこの作品単体で完結しているわけではない。見終わったあと、早くも次の作品が見たくなって仕方がなくなった。この映画がいかに魅力的であるかを示すものだろう。


(2017年5月6日、有楽町朝日ホール、イタリア映画祭2017)(矢澤利弘)