image3

 
 
広島市西区の西区民文化センタースタジオで12日、垣内敦によるスタジオピアノ開きコンサートがあった。広島市民がサークル活動やイベントなどで気軽に利用しているスタジオにグランドピアノの「Shigeru Kawai SK5」が新しく設置されたことを記念したコンサートだ。
 
スタジオには真新しいグランドピアノの美しい音色が響いた。ピアニストの垣内敦はエリザベト音楽大学准教授。垣内は桐朋学園大学卒業後、ドイツのライプツィヒ音楽大学に留学している。自身のルーツであるライプツィヒにゆかりの深い音楽家の曲を含む全5曲を演奏した。
 
ベートーベンの「ピアノソナタ第7番」に続き、メンデルスゾーンの「ロンド・カプリチオーソ」、グリーグの「叙情小曲集」より「春に寄す」「ノクターン」「トロルドハウゲンの婚礼の日」を演奏した。
 
ライプツィヒ音楽大学は、1843年にメンデルスゾーンが設立した歴史ある音楽大学で、古くは明治時代に「荒城の月」や「花」を作曲した滝廉太郎が留学している。ノルウェーの作曲家のグリーグは、ライプツィヒ音楽大学に留学経験があり、留学当時の成績表も残されているという。
 
垣内は、深みがある重厚な低音と透明感ある高音を自由自在に響かせながら、しなやかに演奏した。ベートーベンの「ピアノソナタ第7番」第2楽章では、深い悲しみに沈むような深刻な様子を表現し、グリーグの「トロルドハウゲンの婚礼の日」では、軽快なリズムとメロディーで、ノルウェーの田舎の結婚式のにぎやかさを彷彿とさせるような音楽を作り出していた。
 
最後は、リストの「巡礼の年第2年『イタリア』補遺『ベネチアとナポリ』」。イタリアの民謡を集めた異国情緒あふれる楽しい曲で、コンサートを締めくくった。
 
アンコールではリストの「愛の夢第3番」をしっとりと演奏し、1時間半のコンサートは終演となった。

 
(2017年5月12日、広島市西区民文化センター)(城所美智子)