ディーパック・ラウニャール監督のネパール映画『ホワイト・サン』が17日、長編コンペティション部門のノミネート作品として SKIPシティ国際Dシネマ映画祭で上映された。上映後には共同脚本・編集のデイヴィッド・パーカーさん(写真)による質疑応答があった。

この作品はネパール人民解放軍の兵士だったチャンドラが、儀式のため、山の頂に暮らしていた父の遺体を、険しい山道を下って川まで運ぶまでの道のりを描く。それを通じて、ネパールの山村に暮らす人々の心の機微、そして内戦の傷跡がどれほど深いものかを映し出していく。

細い山道を歩き、老人たちが遺体を運んでいく様子は、まるで一触即発のニトログリセリンをトラックで運ぶ道のりを描いたサスペンス映画『恐怖の報酬』と似て非なる、奇妙な緊張感を与える。

映画は「作られた感じ」がせず、まるでありのままのネパールの現状を写し取っているかのようだ。ドキュメンタリーだと錯覚してしまいそうにもなる。映画に登場する村人たちも俳優ではなく、本物の現地の人々であるかのようなリアルさだ。パーカーさんは「(ベースはネパールの現状ですが、)フィクションも入っている。時代設定は去年です」とし、「村人たちには俳優もいれば、現地の人もいます。太っているのは俳優、痩せているのは現地の人です」と説明する。映画に出てくる男の子と女の子役は役者ではないという。男の子は、自分の父が亡くなり、母の再婚相手には虐げられて孤児になった少年が役を演じている。「最初のころはシャイでしたが、撮影が進むうちにだんだん慣れてきました。毎晩どこで寝ているのかわからないので、毎朝見つけるのに苦労しました」とパーカーさん。

ネパールでは今なお、身分の階級を示すカースト制度が根強く残っており、それが日常に溶け込んでいるのが伝わってくる。この映画にも20ぐらいに分けられた階級が登場する。カーストが低いゆえに、少年がある他人の家の中に入ることが許されないというシーンが象徴的だ。




(2017年7月17日、埼玉県川口市、SKIPシティ映像ホール)(矢澤利弘)