埼玉県川口市で開催されているSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017で16日、短編コンペティション部門の上映があった。同部門は4本ずつ3グループに分けられて上映が行われた。第2グループ『短編◆戮任蓮⊃絽猷門が歌って踊って悪を裁く時代劇ミュージカル『水戸黄門Z』、高校生の男女がプールサイドで交わす会話から淡く切ない物語を描く『なぎさ』、自殺しようとしていた女子高生と彼女を助けた男のロードムービー『DEPARTURE』、認知症の母親を連れて息子が網走を旅する『冬が燃えたら』の4作品が上映された。上映後の質疑応答には『水戸黄門Z』の大川祥吾監督と黄門役の後藤勝徳さん、『なぎさ』の古川原壮志監督と青木堯プロデューサー、『DEPARTURE』の園田新監督と主演のウダタカキさん、『冬が燃えたら』の浅沼直也監督と主演の澤田和宏さんが登壇した。

『水戸黄門Z』の大川監督は、「時代劇ミュージカルは2作目です。もともと好きだった時代劇を新しく見せられないかなと思って、3年前に『サムライオペラ』という時代劇ミュージカルを作りました。全編英語で撮りましたが、好評でした。今回は日本語で時代劇ミュージカルをやろう。やるなら日本で一番有名な『水戸黄門』だったら面白いと思ったのが、作品を作ったきっかけです。調べてみると、本物の黄門様はほとんど旅をしていない。テレビのイメージが強すぎますが、本物は違うのでチャレンジしたかった」と映画のアイデアができるまでの裏話を説明した。黄門様を演じた後藤さんは、「役をもらったときに年齢が全然違うと思いましたが、日本中にイメージが定着している役で、せっかくZもついているので、一行のなかで一番強そうな黄門様を目指しました」と笑った。


『水戸黄門Z』の大川祥吾監督と後藤勝徳さん


『なぎさ』の古川原監督は、「現実なのか夢の世界なのかわからないあのラストシーンを描きたいと思って、それを短編という形にした」と、この映画の作られるきっかけについて話した。青木プロデューサーは「メーンのふたりは高校生ですが、ルックスと演技力にはこだわりたかった。CMで仕事をしたことのある大手事務所に打診したところ、意外なほど快く協力してもらえました」と満足していた。


古川原壮志監督と青木堯プロデューサー


『DEPARTURE』の園田監督は、この映画が作られた背景について、『釜山国際映画祭の(若手映画作家支援プロジェクトの)ために書いた脚本をセルフリメイクしました。韓国ではほかの国の監督さんが演出したのですが、僕自身、それを見たときに、日本人の心で作り直す必要性を感じました」と明かす。「ロードムービーを作ってみたかったこともありますし、感情の詰まった、役者さんを見るだけで楽しめる映画を作ることに挑戦しました」。 この映画は事情により、当初の予定より撮影を1年間延ばさざるを得なかった。これに対して、主演のウダさんは、「監督とは同い年で、同世代としてもぜひ一緒にやりたかった。ですからいつでもOKです。3年までは待ちます」と笑いを誘った。


田新監督と主演のウダタカキさん


『冬が燃えたら』の浅沼監督は、「この作品は実際の事件をモチーフにしています。過剰な演出や説明的なセリフを避けて、季節とロケーション、役者の息づかいだけでどれだけ人に伝わるかをやってみたかった」と製作意図を説明。息子の役を演じた澤田さんは「僕もどちらかというとマザコンなので、共演した女優さんが本当の母親にしか見えなくなっていきました。ラストの食事のシーンでは、息子と母親の関係性が自然にできて、それは演じていて不思議な感覚でした」と撮影を振り返った。


浅沼直也監督と主演の澤田和宏さん



(2017年7月16日、SKIPシティ多目的ホール)(矢澤利弘)