黒沢清委員長


15日から埼玉県川口市で開催されていたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2017が9日間の会期を終え23日、閉幕した。長編コンペティション部門のグランプリには、アーリル・アンドレーセン監督のノルウェー映画『愛せない息子』が選ばれた。国際審査委員長の黒沢清監督(写真)は同作品に対して、次のようにコメントした。


「これは本当に素晴らしい作品でした。父と息子の関係を描くドラマというのはこれまでもたくさんあったんですけれども、この映画がユニークな点は、ノルウェー人である父親が、本来血がつながっていない養子であるコロンビア人の息子との関係を解消しようとするドラマであるという点ですね。

もちろん息子のほうも激しく父親を拒否して、二人の関係はどんどん過酷な状況になっていきます。

このままいくと、本当に最初から血のつながりはないわけですから、完全に二人はバラバラになってしまうのではないか。そういう一種のサスペンスが物語全体に流れていて、息を飲みながら画面を見つめていました。

そして映画はエンディングを迎えるわけですが、これがまた素晴らしく、変にセンチメンタリズムに陥らず、非常に上品に、的確に、しかし確実に父と息子の関係の、ある到達点を描けていたように思います。

しかもそこに間違いなく、ノルウェーという国とコロンビアという国との関係がさりげなく、しかし確実に描かれているというところも感服いたしました。本当に傑作でした。おめでとうございます」。


(2017年7月23日、SKIPシティ映像ホール)(矢澤利弘)