この写真展では、パラオ・沖縄の最新作を中心に、世界の海を旅して記録した中から約120点を展示。小型の潜水艇で深海を撮影した際のドキュメンタリー映像も会場内で放映するなど、バラエティに富む展示になっている。
水中での撮影だけに、写真の基調色はブルーだが、熱帯魚やサンゴ礁などの被写体によって、作品は赤、緑、茶色、黄色など、様々な色彩を帯びる。
展示は、透明度の高いミクロネシアの海から始まり、世界に誇る沖縄のサンゴ礁へと続く。そして震災から蘇りつつある三陸海岸の海、水深1300メートルの深海の世界、エジプトの紅海などが紹介されていく。
見事な魚影の群れ、珍しい深海魚、狙って撮れるかといえば、そうではないはずだ。撮影には偶然も作用する。計算できない海の現実がここにある。
(2017年8月9日、東京都中央区、松屋銀座8階イベントスクエア)(矢澤利弘)
