この映画上映会は2007年から始まり、今回で10回目。上映の前には紙芝居や弦楽器シターのコンサートなどもあった。
会場は広島平和記念公園や広島城からほど近い水辺の緑地。基町POP'La(ポップラ)通りと呼ばれる河川敷だ。ニセアカシアとポプラの木が印象的な風景をつくっている。
開場時刻の午後4時を目指して、スクリーンの設営や販売用の飲食物の用意など、会場では午前中から着々と準備が進められた。
いよいよ開場時刻の午後4時。映画の上映開始は午後7時半なので、開場直後の来場客はまばらだったが、午後4時半を過ぎると、徐々に人が集まりはじめた。参加費は任意で大人500円。
映画上映前は、夕暮れのピクニックタイム&プレイベントとして、様々なイベントが用意されている。
シャボン玉パフォーマンスのコーナーでは、シャボン玉をはじめて8年の為重清美さんが子どもたちにシャボン玉の秘伝を指導。美しい色を出すために3年半の研究期間を要した。
為重さんによると、大きいシャボン玉用と小さなシャボン玉用でシャボン玉液の配合を変えている。虹色に透き通ったシャボン玉を作るには、ラム酒を混ぜるのがコツだという。
紙芝居のコーナーでは、ひろしま紙芝居村による迫力ある紙芝居が子供たちに披露された。
また、紙で作るけん玉に絵を書いて、何回できるかを挑戦する紙けんコンテストのコーナーもあった。
午後7時を過ぎると、徐々に薄暗くなってくる。道路沿いに設置されたボトルに入ったロウソクに火が灯されると、会場は一気に幻想的な雰囲気に包まれた。
映画の上映前、この上映会を共催している広島市映像文化ライブラリーの担当者から、同ライブラリーの今後の上映プログラムの説明があった。また、映写を担当しているシネマ・キャラバンV.A.Gの友川千寿美さんによる作品解説プレトークが行われた。そして、いよいよ映画『ソング・オブ・ザ・シー』の上映が始まった。
多少ざわついていた会場内も、映画が始まると静かになり、レジャーシートの上に座った観客たちは、アイルランドに伝わる妖精、セルキーの母親と人間の父親の間に生まれた兄妹の冒険の物語を堪能した。
午後9時過ぎに上映会は終了。天候にも恵まれ、友人同士や家族連れなど、参加した観客たちは楽しく夏の一夜を過ごしたようだ。
(2017年8月19日、広島県広島市中区、基町ポップラ通り)(矢澤利弘)