演奏活動55周年を迎える、日本を代表するバイオリニストの前橋汀子が10 日、広島県廿日市市のさくらぴあ大ホールでリサイタルを行なった。会場につめかけた1000人以上の観客を前に全11 曲を演奏した。

 

前半はエルガーの「愛の挨拶」とベートーベンのバイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」。白いドレスを身にまとった前橋は、ヴァハン・マルディロシアンのピアノとともに情感豊かに名曲を奏でた。

 

深紅のドレスに衣装替えして登場した後半は、小品の数々を披露した。ヴィエニャフスキの「モスクワの思い出」、ドボルザークの「わが母の教え給いし歌」と「スラブ舞曲」、マスネの「タイスの瞑想曲」、サン=サーンスの「序曲とロンド・カプリチオーソ」、最後はサラサーテの「チゴイネルワイゼン」で華やかに締めくくった。

 

アンコールは、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」、ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」と「ハンガリー舞曲第5番」を演奏し、2時間のリサイタルは幕を閉じた。

 

パンフレットには、2017年に演奏活動55周年を迎える前橋の足跡が写真とともに紹介されており、冷戦下のソ連に留学するため旅立つ船上の様子や、音楽史に名前を刻まれている演奏家や指揮者との交流、世界屈指のオーケストラとの共演の様子など興味深い。




ロビーでは、2017年8月に出版されたばかりの書籍「私のヴァイオリン―前橋汀子回想録」が販売され、サイン入りの本をコンサート会場限定で手にすることができるとあって、大勢のファンが買い求めていた。

 

 


2017910日、広島県廿日市市はつかいち文化ホール・さくらぴあ大ホール)(城所美智子)



前橋汀子 ベスト・コレクション
前橋汀子
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
2008-01-23