
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018で16日に上映された鳴瀬聖人監督の『温泉しかばね芸者』は、オマージュや悪ふざけがてんこ盛りのホラーコメディである。ジャンル映画についてのバカ映画といえる。
冴えない脚本家・村井実紗は、新しい台本を提出しては、監督にダメ出しされるばかり。そんななか、閉ざされた山奥の小さな村に“呪われた芸者伝説”があることを聞く。早速ロケハンに向かう一行だったが、話を聞くうちにアイデアが湧き、実紗はものすごいスピ ードで呪われた芸者のシナリオを書き上げていく。しかし、同行していた制作会社の社長が殺されてしまう。殺した相手は、呪われた芸者の亡霊だった。段々とシナリオ通りに芸者が動くことを知った実紗は日頃の恨みをシナリオのなかで晴らし始める。
一種の業界の内輪ものともいえるが、登場人物の名前がホラー映画の監督やプロデューサーの名前のもじりになっているところなど、随所にジャンル映画への愛が感じられる作品に仕上がっている。
オリジナルのタイトル曲やエンディング曲が印象的で耳から離れなくなりそうだ。
(2018年3月16日、合宿の宿ひまわり体育館、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018)(矢澤利弘)