
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018で16日に上映された大庭功睦監督の『キュクロプス』は息もつかせぬようなスピード感のある復讐劇である。
妻とその愛人を殺害した罪により、14年の服役を終えた男・篠原が、事件が起きた町に戻ってきた。彼の目的は、妻を殺して自分を罠にはめた真犯人に復讐することだ。
こうした出だしからは、よくある復讐劇に見えるかもしれない。だが、映画が進むにつれて、次々と観客の予想する展開を裏切っていく。大庭監督は「楽しんで見てもらうおうとすると、こういう作りになった。一昨年書いた脚本で、これを最後にするつもりで書いた」と説明する。
大庭監督によれば、暗黒社会と警察の関係を主軸にしたバイオレンスという内容やタッチから韓国ノワール映画の影響を受けているのではないかと指摘されることがあるという。しかし、監督本人は韓国映画はあまり見ておらず、意識はしていないとのことだった。
(2018年3月16日、合宿の宿ひまわり体育館)(矢澤利弘)