
東京の裏社会で20年生きてきた小さな金本組の若頭・鳴海。相棒の山城を失い、ヤクザ社会に愛想を尽かし廃業をする決心を固めるが、ヤクザの家に生まれた若者たちが背負う宿命からは逃れられない。鳴海には今夜中にどうしても稼業としての仁義を通さなければならない男たちがいた。
ヤクザ、警察、ヤクザを親に持つ子どもたち。彼らの悲喜こもごもが時制を前後させながらジグソーパズルのように描かれていく。そして最後のピースがはまった瞬間、物語が完結するという構造の映画だ。
ヤマシタ監督は「(映画を撮るのが)最後ぐらいの意気込みで脚本を書いた。映画体験的にこういう映画が好きだった」と、入り組んだ構造のストーリーにした理由を打ち明ける。
三日月を使ったお洒落なラストタイトルは撮影の途中で思いついたものだという。