バイオリニストの高島ちさ子とフジテレビアナウンサーの軽部真一がプロデュースするクラシックコンサート「めざましクラシックスin呉」が15日、広島県の呉市文化ホールであった。シューベルトのオペラ「魔王」を熱唱した軽部アナウンサーの歌のうまさが強烈に印象に残ったコンサートだった。「めざましクラシックス」は全国各地で公演が行われ、初公演から20年以上の歴史がある。ゲストにバイオリニストのNAOTOとボーカルの藤澤ノリマサを迎え、全12曲を演奏した。
第1部は「ホーンテッドシアターにようこそ」と題し、芝居仕立てでクラシックコンサートを楽しむという演出。司会の軽部アナウンサーとバイオリン、ビオラ、チェロ、ピアノの男性陣は黒いマントを羽織り、ファーストバイオリンの松本蘭は黒いドレスで演奏した。
曲目は悪魔にちなみ、タルティーニの「悪魔のトリル」、サン=サーンスの「死の舞踏」、デュカスの「魔法使いの弟子」、シューベルトの「魔王」、パガニーニの「カプリース第24番」の5曲。中でも、シューベルトの「魔王」では、軽部アナウンサーが父親、息子、死神、語り部の4役を巧みに歌で表現した。フジテレビの「めざましテレビ」などに長年出演し、ベテランアナウンサーとして馴染みのある軽部アナが、実はプロ並みに歌がうまいということを初めて知ってびっくりした、という観客が多かったようだ。軽部アナに大きな拍手が送られた。
第2部はサラサーテの「ザパティアート」に続いて、藤原ノリマサが「伝えなくちゃ」「希望の歌〜交響曲第九番」を熱唱。続いて、スペシャルゲストとして、バイオリンのNAOTOが登場した。NAOTOはテレビ新広島で放送している「ひろしま満点ママ!!」のテーマ曲を作曲・演奏しており、同番組の司会の棚田徹アナウンサーと古沢知子アナウンサーも登場し、トークに加わった。NAOTOは「Precious Day」「HIRUKAZE」の自身が作曲した2曲を演奏。最後はピアソラの「リベルタンゴ」で、松本蘭とNAOTOの2人がバイオリンのソロパートをそれぞれ競い合うように演奏し、最高の盛り上がりを見せた。
アンコールは、出演者全員で「オズの魔法使い」より「虹の彼方に」を演奏して、コンサートは終演となった。
クラシック愛好者も初めての人も最初から最後まで飽きずに楽しめるコンサートだった。
(2018年4月15日、広島県呉市文化ホール)(城所美智子)