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22歳の若きバイオリニスト山根一仁が、ソリストとして広島交響楽団と共演し、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」を熱演した。

 

広島交響楽団の廿日市定期演奏会が22日、広島県廿日市市のはつかいち文化ホールさくらぴあであった。指揮は、広島交響楽団終身名誉指揮者の秋山和慶

 

金管楽器による「オープニング・ファンファーレ」につづき、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」序曲で、華やかにコンサートは開幕した。

 

3曲目は、チャイコフスキーの「バイオリン協奏曲」。ソリストの山根一仁がバイオリンを携えてステージに登場すると、会場が少しどよめいた。


山根は中学3年で日本音楽コンクール第1位となり、22歳の現在はドイツ国立ミュンヘン音楽大学に在籍し、国内外のオーケストラと共演を重ねている。若く実力があると評判の山根の演奏を楽しみにして来た観客は多かったはずだ。しかし、想像していた以上に、かなりの長身、細身、まるでモデルのような容姿端麗な姿に、観客はまず驚かされた。


平たく言えば、黒いタキシードに深紅のネクタイをした若いイケメンの登場に、歓声をあげたいところだけれど、クラシックのコンサートだからそれもできず、静かにため息をついたか、一言二言、隣の席の同伴者に話しかけずにはいられない人が続出した、というところである。


チャイコフスキーが作曲した当初は演奏不可能とも言われた難曲を、山根は、確かな技術と、豊かな音色で見事に表現し、哀愁を帯びた優美なメロディーで多くの観客を魅了した。弓を高く掲げて体の動きをストップする山根の決めポーズにはオーラが感じられ、まさしく「絵になる」ソリストだった。圧倒的な演奏に、会場からはブラボーと盛大な拍手が送られた。


アンコールは、バッハの「無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番、ジーグ」。速いリズムでの正確な音程と美しい音色がひときわ際立つ演奏を披露した。

 

チャイコフスキーの「交響曲第6番「悲愴」」では、第3楽章の渾身の演奏、金管パートや打楽器パートの大迫力に圧倒され、フィナーレと勘違いした観客が続出し、楽章の合間で大きな拍手が送られるというハプニングもあったが、第4楽章はしめやかに、静かな余韻を残して終わった。


アンコールはチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」で、チャイコフスキーの魅惑的な旋律を弦楽器が美しく奏で、コンサートは閉幕した。


2018422日、広島県廿日市市はつかいち文化ホールさくらぴあ)(城所美智子)



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世界的指揮者 秋山和慶や2010年日本音楽コンクール第一位受賞の山根一仁らが特別出演。クラシックファンも必見。