07 レッドタートル ある島の物語:The Red Turtle

27日まで開催中のアニメーション映画の映画祭「広島国際アニメーションフェスティバル」では24日、特別プログラムとして、アニメーション作家マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の長編作品『レッドタートル ある島の物語』と短編2作品『お坊さんと魚』と『父と娘』の上映を行い、同監督が講演した。

マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督は、『レッドタートル ある島の物語』について、2006年にスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーと高畑勲監督の名義で長編を撮らないかという手紙が届いたことから制作が始まったと説明し、次のように話した。「作品は全てフランス、ベルギー、ハンガリーというヨーロッパで作り、日本人は参加していない。だが、私は度々日本に来て進捗を報告し、意見を伺った。制作中はこちらの意向に敬意を払ってもらえた。作品を作るうえで、日本のスタイルで作るつもりはなかった。だが、協力関係は素晴らしかった。この映画を日本で上映してもらえることは私にとって特別なことです」。

講演では、短編作品『お坊さんと魚』や『父と娘』の発想の源などについて、詳細な説明が加えられた。最後にデュドク・ドゥ・ヴィット監督は創作のための秘訣として、いくつかのポイントを挙げた。「自分に適した道具を使うこと。そこをケチってはいけない。自分の作品を批判的に見ること。ただ、良い作品になるかはセレンディピティ(ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ること)が左右する。刺激を受けるために、時には身体を物理的に別の場所に移動させること」。

会場では、熱心にメモを取る観客の姿も多く見られ、客席の若きクリエイターたちは大きな刺激を受けたようだ。

(写真:『レッドタートル ある島の物語』 c 2016 Studio Ghibli - Wild Bunch - Why Not Productions - Arte France Cinema - CN4 Productions - Belvision - Nippon Television Network - Dentsu - Hakuhodo DYMP - Walt Disney Japan - Mitsubishi – Toho)


(2018年8月24日、JMSアステールプラザ)(矢澤利弘)


『レッドタートル ある島の物語』をはじめ、『お坊さんと魚』と『父と娘』も収録された作品集。




レッドタートル ある島の物語
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット
岩波書店
2016-09-14

岸辺のふたり―Father and Daughter
マイケル・デュドク ドゥ・ヴィット
くもん出版
2003-03-01