初公開時には評論家から無視された映画が、時が経つにつれて、次第に好意的な評価に変わっていくことがある。時代が作品に追いついたのだろうか。それとも作品が理解されるまでに時間がかかったのだろうか。 画家フィンセント・ヴァン・ゴッホは、生前に売れた絵画がたっ ...
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『こいのわ 婚活クルージング』、富豪の婚活をテーマにした広島のご当地映画
ご当地映画というのは難しい。安易な観光スポット案内の域に留まることものが多いからだ。 金子修介監督の『こいのわ 婚活クルージング』は、資産家の経営者と美人編集者の婚活をめぐる広島県を舞台にしたラブコメディである。 ...
『鏡の女たち』、人間には描けないものがある。その一つが原爆だ、広島国際映画祭
広島国際映画祭では、21日の午前9時半から吉田喜重監督の『鏡の女たち』が上映され、上映後には吉田監督と主演の岡田茉莉子さんのトークショーが行われた。この作品は2002年に制作された吉田監督の14年ぶりの映画だ。吉田監督は次のように語った。ー広島の原爆をテーマにし ...
『河北台北』、娘が父親の激動の人生を15年の歳月をかけて記録
一番近い人なのに、実はよく知らない人。それは自分の親なのではないだろうか。李念修(リ・ニェンシウ)監督の『河北台北』は、娘である監督が12年に渡って、激動の人生を生き抜いた父親の生活を撮り続けたドキュメンタリーである。山形国際ドキュメンタリー映画祭コンペテ ...
『ガーディ』、ダウン症の少年を守る父親をユーモアたっぷりに描く - SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015
(c)2014 The Talkies. All Rights Reserved. ハンディキャップを背負った子供を描く場合、作品のタッチが暗くなったり、お涙頂戴物になったりしがちだ。だが、アミン・ドーラ監督によるレバノン映画『ガーディ』は、そんな難しいテーマをハートウォーミングかつユーモアた ...
『黒い魂』(黒の魂)、犯罪組織のファミリー間の抗争を描いた作品、イタリア映画祭2015
フランチェスコ・ムンズィ監督の『黒い塊』(DVD発売時改題『黒の魂』)は、イタリアの巨大犯罪組織「ンドランゲタ」が拠点とする小さな町を舞台に、抗争に巻き込まれた3兄弟の運命を描いた犯罪ドラマである。犯罪で巨額の富を築いた彼らは羽振りがいいように見えるが、い ...
『神の恩寵』、南イタリアの貧しい一家の物語
エドアルド・ウインスピア監督『神の恩寵』は、南イタリアのプーリア州が舞台。貧しい一家の物語である。出演者は全員、職業俳優ではなく、主人公の母親は監督の妻、その娘役は実際に娘、といったように素人である。もっとも、イタリア映画では素人を俳優として起用 するこ ...
『いつだってやめられる』、高学歴ワーキングプアの現状を活写したコメディ
いくら優秀な研究者だとしても、その能力が生活の安定に結びつかないのは万国共通のようだ。シドニー・シビリア監督の『いつだってやめられる』は、大学のポストを失った神経生物学者が、かつての学者仲間と合法ドラッグの製造販売に乗り出すというコメディーである。 高 ...
『苔まみれの転石』、小説家を志す卑屈な青年の孤独と挫折を描く
地方に住む者にとって、東京というのは実に恐ろしいところである。末廣朋樹監督の『苔まみれの転石』は、小説家を志す卑屈な青年の孤独と挫折を描く。最近の自主映画には珍しく16ミリフィルムで撮影されている。警備の仕事をしながら小説を書き溜めている青年、江川厚は、プ ...
フリードキン監督の『恐怖の報酬』、再評価されるべきサスペンス映画の傑作、カナザワ映画祭
初公開時には多くの評論家から悪評ばかりだった映画が、時が経つにつれて、次第に好意的な評価に変わっていくことがある。時代が作品に追いついたのだろうか。それとも作品が理解されるまでに時間がかかったのだろうか。 画家フィンセント・ヴァン・ゴッホは、生前に売れ ...
『ゲスト』、世界中の映画祭に招待されたゲリン監督が各地で暮らす人ドキュメンタリー
ホセ・ルイス・ゲリン監督の『ゲスト』は、世界中の映画祭に招待された同監督が、各地で暮らす人々の生き様を撮影したドキュメンタリーである。 映画祭にゲストとして参加するために訪れた様々な土地を描いていくというテーマからは、華々しいフェスティバルの様子を写し ...
『風花』、エリート官僚と風俗嬢はどこを目指すのか
謹慎中のエリート官僚廉司(浅野忠信)と風俗嬢ゆり子(小泉今日子)を乗せた車は北海道の片田舎を走っていく。彼らはなぜ一緒にいるのか。そしてどこを目指していくのか。相米慎二監督の『風花』は、共通点のある水と油が氷点下の外気のなかで混じり合っていくような雰囲 ...
『かもめ食堂』、フィンランドで食堂を開いた日本人女性と仲間の日常生活
居心地のいい場所には人が集まってくる。荻上直子監督の『かもめ食堂』は、フィンランドで小さな食堂を開いた日本人女性サチエと店に集まった人々との交流と日常を描く。 サチエはヘルシンキにかもめ食堂をオープンさせたが、一カ月経っても客はゼロだ。淡々と店を続ける ...
【イタリア映画祭】『グレート・ビューティー/追憶のローマ』、作家は初恋の女性の死をきっかけに究極の美を追い求める
『グレート・ビューティ/追憶のローマ』は、『イル・ディーヴォ−魔王と呼ばれた男-』(08)のパオロ・ソレンティーノ監督の最新作である。本作は、本年度のゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞している。永遠の都ローマを舞台に、華や ...
『コンテンツ産業論』、コンパクトに産業全体を俯瞰できる入門書
『コンテンツ産業論−文化創造の経済・法・マネジメント』(河島伸子著)は、入門者が短時間でコンテンツ産業全体を把握するのにはよいのではないか。目次は以下のとおりである。第I部 文化経済とコンテンツ産業第1章 文化経済とコンテンツ産業入門第2章 コンテンツ産業政 ...
【書評】「創造的破壊」、外部からの侵入はプラスにもマイナスにも働く
創造的破壊――グローバル文化経済学とコンテンツ産業 [単行本]グローバル化は文化の地域特性を消失させるのか。タイラー・コーエンの『創造的破壊』は、この問題がそんなに単純ではないことを示してくれる。 ...
【映画祭】キンダー・フィルム・フェスティバル、19日まで調布市グリーンホールで開催中
(会場の調布市グリーンホール、8月15日、撮影:矢澤利弘)日本最大級の子どもたちの世界映画祭第20回「キンダー・フィルム・フェスティバル」が15日から19日まで東京・調布市の調布市グリーンホールで開かれている。15日のオープニングイベントでは、映画祭チェアパーソンの ...
子どもたちの世界映画祭、第20回キンダー・フィルム・フェスティバル、8月15日から調布市で開催
生でセリフの吹き替えをするライブシネマのデモンストレーションを行う戸田恵子さん、中山秀征さん、内田恭子さんら(撮影:矢澤利弘、5月24日)日本で唯一の子どもたちの世界映画祭、キンダー・フィルム・フェスティバルが今年20回目を迎え、8月15日から19日まで、調布市グ ...
栃木・蔵の街かど映画祭、街中に点在する蔵がミニシアターに変貌する2日間
上映会場のひとつ油伝味噌(撮影:矢澤利弘)5月19日と20日の2日間、栃木県栃木市で第5回栃木・蔵の街かど映画祭が開催された。この映画祭の特徴は、栃木の街の景観を生かしているところだ。 栃木市には、約300棟の蔵や日本家屋、昭和初期の建造物群、かつて流通の要だった ...