ジョナス・カルピニャーノ監督のデビュー作『地中海』は、移民という今日的な問題にリアルな演出で迫る。カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品されたのをはじめ、世界の多くの映画祭で上映されている。 ブルキナファソの青年2人は、より良い生活を求 めてヨーロッパに ...
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『種まく旅人 くにうみの郷』、現代の海彦山彦のような兄弟と女性官僚の交流、食と農の映画祭
ⓒ2015「種まく旅人 くにうみの郷」製作委員会篠原哲雄監督の『種まく旅人 くにうみの郷』は、アメリカ帰りの女性農林水産省官僚が、地域調査官として訪れた淡路島で出会った玉ねぎ農家の兄と海苔作りを生業とする漁業者の弟というふたりの若者との交流を描く。頭でっかちの ...
『トマトのしずく』、父と娘の和解を軽快に描く、お蔵出し映画祭
柳英里紗さん、榊英雄監督 親子の関係って、なかなか一筋縄ではいかないもの。だが、親はいつだって子供のことを思っている。不器用な親も、不器用な子供もいるのだ。榊英雄監督の『トマトのしずく』は、疎遠になってしまった父親と娘の不器用な関係を描く。 美容院を経営 ...
『絶え間ない悲しみ』、メキシコの片田舎を描く寡黙な映画 - SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015
小説のページをめくっていくように、メキシコの片田舎の情景と、そこに住む人々の暮らしが淡々と描かれていく。ホルヘ・ペレス・セラーノ監督によるメキシコ映画『絶え間ない悲しみ』は、物語を進めるための説明というものを排除し、寡黙な描写に徹している。 ひと月ごと ...
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』、12年ぶりにシュワルツェネッガーがシリーズに帰ってくる、7月11日に公開
1984年に第1作が公開され、大ヒットとなった 『ターミネーター』シリーズの最新作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』が7月11日に日本公開されることが決定した。2003年公開の『ターミネーター3』以来、12年ぶりにシリーズに帰ってくるアーノルド・シュワルツェネッガー ...
『滝を見にいく』、閉じられた場所で織りなすおばちゃんたちの人間模様
けんかをしたり、互いに協力し合ったり。沖田修一監督の『滝を見にいく』は、閉じられた場所における人々の軽妙な人間関係を描く。秋のバス旅行ツアーに参加した7人の熟年女性たち。新米ガイドの不手際で、山中に取り残される。仕方なく、おばちゃんたちはなんとか自分たち ...
『超高速!参勤交代』、長い道のりを歩いて旅してみたくなるロードムービー時代劇
思わず長い道のりを歩いて旅してみたくなる。本木克英監督の『超高速!参勤交代』は五日以内に参勤交代せよと命じられた弱小貧乏藩の藩主一行は知恵と根性で江戸を目指すロードムービー時代劇である。命令に従わなければ藩はお取り潰し。そんな枷が課せられたサバイバルドラ ...
『時ノカケラ』、切ない幼年時代の記憶の物語
大人になると、いつしか幼年時代の記憶は失われていく。子供のころにどんなに楽しく日々を生きていても、後になれば思い出せないことが増えていく。いつしか疎遠になってしまった親友たち。誰にでもそんな友人がいるのではないだろうか。真壁幸紀監督の『時ノカケラ』は、掘 ...
『地下水道』、出口のない迷路をさまよう人々
誰も救われることのない物語はいったい何人の人々を救ったのか。アンジェイ・ワイダ監督の『地下水道』は、出口のない迷路のような地下水道を舞台にした作品である。ポーランド・ロマン主義の伝統を受け継ぐワイダが、ワルシャワ蜂起に参加したイェジ・ステファン・スタヴ ...
【イタリア映画祭】『多様な目』、目の見えない人々の前向きな生きざまを追うドキュメンタリー
『多様な目』は、『日々と雲行き』など多くの劇映画を手掛けてきたソルディーニ監督によるドキュメンタリー作品である。 本作には、理学療法士、企業家、彫刻家、ミュージシャン、テレフォン・オペレーター、退職者、チェロ弾きの学生が登場するが、彼らに共通するのは、 ...
『東京上空いらっしゃいませ』、死から始まる切ない物語
牧瀬里穂の躍動感に痺れる。この世とあの世があるとしたら、相米慎二監督の『東京上空いらっしゃいませ』は、その境界線上を描いた作品である。ここまで切ない映画があるだろうか。 牧瀬が演じるキャンペンガールのユウが交通事故で死ぬ。死神コオロギを騙して、彼女は元 ...
『ドラえもん 新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊』、彼らの冒険は終わらない
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2014 ジャイアンは思っていたよりもカッコいい。しずかちゃんは思っていたよりも色っぽい。スネ夫は思っていたよりも周囲のことを考えている。そして、のび太は思っていたよりもしっかりしている。彼らの冒険は終わらない。 ...
『天使の欲望』、痴漢狩りをする女子高生をスピード感のある演出で描く
手堅くまとまりつつも、どことなく突き抜けている。磯谷渚監督の『天使の欲望』は、電車のなかで痴漢狩りをする女子高生たちの話である。こういう設定だけを聞くと、勧善懲悪の必殺仕事人みたいな復讐ものや自警団ものを連想しそうになるが、この映画はそういう展開にはな ...
『トラブル・トラベラ』、鳥取のホテルを舞台にしたセリフの無い連作コメディ
ベ・テス監督の『トラブル・トラベラ』は鳥取のあるホテルを舞台にしたセリフのないコメディ映画である。一話数分の作品を組み合わせて構成されている。 舞台は一貫しているが、それぞれのストーリーに一貫性はないので、バラバラの短編をまとめて何本か見るような印象だ ...
『駄作の中にだけ俺がいる 会田誠ドキュメンタリー』、アーティストには、細部の妥協を許さないこだわりが必要だ
渡辺正悟監督の『駄作の中にだけ俺がいる 会田誠ドキュメンタリー』は、2009年7月から2010年5月の個展開催まで、現代美術作家、会田誠の 日常生活に密着したドキュメンタリーである。カメラは無数のサラリーマンの死体で出来ている山を描いた『灰色の山』の制作過程を追う。 ...
東京国際映画祭、25回目の今年は10月20日から9日間
2011年の東京国際映画祭のようす日本最大の映画祭、東京国際映画祭が10月20日から28日まで六本木ヒルズをメーン会場に、都内の各劇場と施設・ホールで開催される。25回目の迎える東京国際映画祭は日本唯一の国際映画製作者連盟公認の国際映画祭として、1985年から開催されて ...
東京国際映画祭のマーケット部門会場をお台場へ移転
東京国際映画祭と併催されるマルチ・コンテンツマーケットTIFFCOM2012は、従来の六本木ヒルズからお台場のホテルグランパシフィック LE DAIBAへ会場を移転して開催されることが決まった。TIFFCOMは今年で9年目。使用会場面積の限界により、次年度以降のスペースの確保が難 ...
ダリオ・アルジェント、RAIのテレビシリーズ「4次元」に着手
ダリオ・アルジェント監督イタリアのホラー映画の巨匠監督ダリオ・アルジェントはイタリアの公共放送RAIのミニシリーズ「四次元(La quarta dimensione)」の準備に着手した。2012年中の放映予定。アルジェントがテレビ用作品を手掛けるのは初めてではない。今までにも、1973 ...
東京フィルメックス、今年の入場者数は1万8559人、相米慎二特集が好評
東京フィルメックス事務局は8日、11月19日(土)から27日(日)まで開催された映画祭「第12回東京フィルメックス」の総合入場者数などの開催結果を発表した。それによると、今回の総合入場者数は1万8559人と前年の1万7089人から1958人増加。昨年は会期終了後も続く関連特集上 ...