いかにもスペインらしい作品。だが、スペインらしいって何だろう。カラッとしていることだろうか。そうだとすれば、フェリペ・ゴメス・ウリャテ監督の『ボボ・フリッター』は名実ともにスペインらしい一篇である。 叔父の経営するファストフードレストランでこき使われて ...
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『FUCK ME TO THE MOON』、唐突に消えた女への余韻がせつない
最初は気にも留めなかった女だったが、何度も会っているうちに、次第に愛おしくて愛おしくて仕方がなくなってくる。男だったらそんな体験があるかもしれない。 高畑鍬名と滝野弘仁監督の『FUCK ME TO THE MOON』はそんな作品である。今一歩の作曲家コンビの男二人と謎の女 ...
上映会「ロードショーとスクリーン ブームを呼んだ外国映画」、京橋のフィルムセンターで7月11日から=『サスペリアPART2』など17本を上映
『サスペリアPART2』より1970年代から90年代に日本公開された外国映画のヒット作、話題作を特集する上映会「ロードショーとスクリーン ブームを呼んだ外国映画」が、東京・京橋のフィルムセンター(東京都中央区京橋 3-7-6 )で7月11日から29日まで開催される。「約束です! ...
フランス映画祭が20回目、21日から有楽町朝日ホールなどで『最強のふたり』など12プログラムを上映
『最強のふたり』20thアニーバーサリーと称して、第20回目となるフランス映画祭が21日から24日まで、有楽町朝日ホールとTOHOシネマズ日劇で開催される。今回は東京国際映画祭でグランプリを受賞し、フランスで大ヒットした『最強のふたり』(エリック・トレダノ、オリヴィエ ...
『ホタルに恋して』、ホタルと台湾の美しい農村風景、地球環境映像祭で上映
アース・ビジョン 第20回地球環境映像祭 『ホタルに恋して』(Chang Po-chun(張 博釣)監督) 張博釣監督のドキュメンタリー映画『ホタルに恋して』は、ミズボタルの生態を主軸としつつ、台湾の農村の暮らしぶりや多様な生き物の生態を紹介していく。監督は子どもの頃から ...
『POV〜呪われたフィルム〜』初日舞台挨拶、志田未来「私はほんとに怖いものが苦手」
c2012「POV〜呪われたフィルム〜」製作委員会 18日の午後3時45分から、TOHOシネマズ渋谷で映画『POV〜呪われたフィルム〜』の初日舞台挨拶が行われ、志田未来(18)、川口春奈(17)、鶴田法男監督(51)が登壇した。 鶴田監督は「こちらの作品はモキュメンタリー映画です ...
『薔薇とサムライ』、劇団☆新感線の人気舞台をデジタルシネマで、テンポのよい快作
『薔薇とサムライ』は、劇団☆新感線の舞台をデジタルシネマで収録・編集して映画館で上映するゲキ×シネシリーズの1本。17世紀、ヨーロッパのイベリア半島。大泥棒・石川五右衛門(古田新太)は女海賊のアンヌ・ザ・トルネード(天海祐希)の用心棒として、地中海で暴れ回っ ...
ピューロランドのミュージカル『ハローキティとオズの魔法の国』をデジタルシネマで収録、6月18日から劇場公開
c2011SANRIOCO.,LTD.ハローキティ誕生35周年を記念して2009年からサンリオピューロランドで上演されているミュージカルを3Dデジタルシネマで収録した『3Dミュージカルショー ハローキティとオズの魔法の国』が6月18日から全国のワーナー・マイカル・シネマズで公開される。 ...
『つぐない』のシアーシャ・ローナン&ジョー・ライト監督最新作『ハンナ』、8月27日公開
『つぐない』でオスカー候補になった天才少女シアーシャ・ローナンと、同作で彼女を一躍人気女優へと押し上げたジョー・ライト監督が再びコンビを組み、前作とは打って変わったサスペンス・アクションに挑んだ『ハンナ』が4月8日、全米2535スクリーンで公開された。週末3日 ...
『ふたたび』の塩屋俊監督、「エンターテインメントのなかに痛みがあるから共感できる」
(塩屋俊監督、2010年9月28日)『ふたたび SWING ME AGAIN』は、ハンセン病療養所から50年ぶりに戻った元ジャズトランぺッター(財津一郎)がバンド仲間を捜して孫(鈴木亮平)と共に旅をするロードムービーだ。監督の塩屋俊はこの映画の企画を実現させるために5年をかけた。職 ...
映画『ビー・デビル』のチ・ソンウォン、「コップに入った水のような演技を目指した」
(チ・ソンウォン、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2011にて)人口9人の孤島を舞台に、虐げられた人間の暴力性を描いたいたチャン・チョルス監督の衝撃作『ビー・デビル』(3月26日よりシアターN渋谷ほかにて全国順次ロードショー)。ソウルで働く美しい独身女性のヘウォ ...
『ブライトン・ロック』、誰も信じない男とすべてを信じる女の対比と顛末
© 2010 StudioCanal S.A/UK Film Council/BBC テンポの良さが心地よい。ローワン・ジョフィ監督の『ブライトン・ロック』は誰も信じない男とすべてを信じる純粋な女の顛末である。相反する二人の人生が対比されている。悪の塊のような若者と無垢の女性。隙のない編集で見せ ...
『パリから5時間』、中年男のまじめな恋
中年男の恋物語。レオン・プルドフスキー監督のイスラエル映画『パリから5時間』は、タクシー運転手が息子の音楽教師に恋をするというラブコメディだ。息子とふたり暮らしのタクシー運転手イガル。息子の美しい音楽教師リナ。イガルは恋に落ちるが、リナの夫がカナダから戻っ ...
『ブッダ・マウンテン』、若い3人と京劇の元歌手とのふれあいを描いた青春群像劇
(C)Laurel Films Company Ltd.すがすがしい青春群像劇。リー・ユー(李玉)監督の『ブッダ・マウンテン』は高校を卒業した後、ぶらぶらしている3人の友人たちの成長物語だ。3人が間借りをする大家の元歌手とのふれあいがドラマに厚みを与えている。元京劇歌手のチャン・ユエ ...
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と『白夜行』、子供時代の隠された秘密を現在と同時進行で描いていく
©2010 「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」製作委員会©2011「白夜行」製作委員会子供の頃のトラウマと隠された過去がいかにして将来に禍根を残すか。瀬田なつき監督の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』と深川栄洋監督の『白夜行』は過去の忌まわしい事件とその事件の ...
『一粒の麦』、幻想的なラストシーンは好き嫌いが分かれそうだ。
過去と現在のできごとを同時並行で描く構造の映画の1本。シニツァ・ドラギン監督の『一粒の麦』はコソボで売春を強いられている娘を探すルーマニア人の父親と、ルーマニアで自動車事故を起こして遺体となった息子を探すセルビア人の父親の物語だ。ふたりはドナウ川で出会い ...
『ポゼッション』、どこまでが妄想なのか
わめきたてる女と男。アンジェイ・ズラウスキー監督の『ポゼッション』は、こんなにうるさい映画だったか。得体の知れない生命体とイザベル・アジャーニとのセックスが話題になった作品だが、全編に渡ってオーバーアクションで演技も派手さだけが目につく。 (2010年9月19日 ...
『ボーダー』、デ・ニーロとパチーノの重厚な刑事ドラマ、小道具の使い方の見本でもある。
これは犯人の告白なのか。ジョン・アヴネット監督の『ボーダー』は、小道具を効果的に使用することによって、観客の予想を巧みに裏切っていく展開が心地よい作品だ。NY市警のベテラン刑事、ターク(ロバート・デ・ニーロ)とルースター(アル・パチーノ)は長年のコンビだ ...
『ベスト・キッド』、勝負もの映画の黄金律
戦う動機、訓練、本番。それぞれの要素を映画の上映時間の三分の一ずつ配置するというのが、勝負もの映画の黄金律である。ハラルド・ズワルト監督の『ベスト・キッド』は、愚直なまでにこうした黄金律に忠実な決戦もの映画だ。アメリカから中国に引っ越してきた黒人の少年が ...
『パラレルライフ』、過去を探ることで、現在の危機を乗り越えようという作劇は目新しいが、クロージングはいささか強引
リンカーンとケネディの運命にはいくつもの共通点があるというモチーフから、過去の人物と同じ運命をたどらざるを得ない人間が存在するという平行理論。クォン・ホヨン監督の『パラレルライフ』は、30年前に殺された判事と同じ運命を持ってしまった若きエリート判事キム・ソ ...