父親と息子の確執は人類における永遠のテーマである。カトリン&アンドレス・マイミック夫婦監督のエストニア映画『私と同じ顔の、おじさん』は息子の視点から父親との確執と和解を描く。主人公フーゴーは音楽評論家で、離婚の経験からなかなか立ち直れないでいる。環境を整 ...
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『私と彼女』、同性愛関係の中年女性ふたりのロマンチックコメディ、イタリア映画祭2016
愛し合ったもの同士、恋愛をうまく回していくのは世界中どこでも同じ。性別も超越するものなのだ。マリア・ソーレ・トニャツィ監督の『私と彼女』は、中年の同性愛関係にあるふたりの女性の人間模様をロマンチックかつ軽快に描いている。 決して若くない同性愛者の女性ふ ...
『われらの子供たち』、弁護士の兄と医者の弟のそれぞれの家族を対比させることで、家族のあり方をあぶり出す。
罪を犯した子供に対して、親はどう接すればよいのだろうか。子供にきちっと罪を償わせるべきなのか、それともなんとしてでも子供を守るべきなのだろうか。どちらのほうが親として正しい選択なのか。イヴァーノ・マッテオ監督の『われら ...
『われわれは信じていた』、今年はイタリア統一150周年、統一の裏側を描いた重厚な作品
マリオ・マルトーネ監督の『われわれは信じていた』は、イタリア統一運動の底辺上の人々や事件を描いた歴史劇だ。2011年はイタリア統一150周年にあたる。イタリア統一の英雄の一人、ジュゼッペ・マッツィーニの運動に関連した3人の男たちの4つのエピソードを通じて、統一運動 ...
『鷲宮☆物語』、ご当地映画は誰のためにあるのか。
アニメ、『らきすた』の舞台として使われたため、アニメの聖地となった埼玉県の鷲宮。北川敬一監督の『鷲宮☆物語 商工会の挑戦』は、そこを舞台にした地域ドラマである。アニメで盛り上がっている鷲宮の地域活性化のために、鷲宮出身の若き映画監督が鷲宮を舞台にした映画 ...
『私の優しくない先輩』、冒頭は大嫌いだが、ラストまで見ると好きでたまらなくなる青春ラブコメの大傑作
冒頭から5分間ぐらいまでの第一印象は大嫌い。だが、最後の最後まで見てみると好きで好きでたまらない映画となった。まるで、この映画に登場する「優しくない先輩」のように。山本寛監督の『私の優しくない先輩』は主人公の少女のモノローグで展開する青春ラブコメディの傑 ...
『私の中のあなた』:繊細な脚本構成と無駄のない演出。ふたつの自己決定権とアメリカの良心
ニック・カサヴェテス監督の『私の中のあなた』は白血病に侵された姉と姉のドナーとなるべく遺伝子操作で生まれてきた妹、そして彼女らを取り巻く兄と両親の関係を通じて「家族」そのものを描いた作品である。映画は、家族のそれぞれの生きざまに焦点を当てていく。家族にお ...