映画監督ダリオ・アルジェントの作品を研究する団体であるアルジェント研究会が主催する「アルジェント研究会15周年記念大会」が2019年8月17日(土)に東京・亀戸のカメリアホールで開催される。2004年に結成された同研究会の15周年を祝し、オペラコンサートやドキュメンタリ ...
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『待つ女たち』、待ち続ける悲しみを詩的に描く静かな作品、イタリア映画祭2016
繊細で詩的な作品。ゆっくりと映像のなかへ入り込んでいくかのような錯覚に陥っていく。ピエロ・メッシーナ監督の『待つ女たち』は、シチリアの古い屋敷でひっそりと暮らす女性が、パリからやってきた息子の恋人と一緒に、息子 ...
『そして、地に平和を』、無関係な3つのストーリーがある時点で収束するが、結びつきに工夫が足りない
無関係な3つのストーリーがある時点で収束するというパターンのイタリアのインディペンデント映画である。 マッテオ・ボトルーニョとダニエレ・コルッチーニ監督の『そして、地に平和を』は、ローマから少し離れた郊外が舞台。3つの物語が平行し、それがある時点で ...
『パルシファル(照魔鏡)』、映画は人を驚かせるためにある
遠隔地にいる人物を写し出す鏡。一瞬で若い娘に変身する魔法使い。忽然と出現する幽霊や兵隊たち。マリオ・カゼリーニ監督の『パルシファル(照魔鏡)』(1912)は、当時のトリック撮影をオンパレードのように使った幻想的な歴史劇だ。母親から父の聖槍を授かったパルシファル ...
『ポー川のひかり』:床に散らばる古い書物たちはまるで抽象芸術のオブジェのようだ。
太いくぎで図書館の床に打ち抜かれた大量の古文書。それは十字架にくぎで打ち付けられたイエス・キリストのようだ。床に散らばる古い書物たちはまるで抽象芸術のオブジェである。エルマンノ・オルミ監督の『ポー川のひかり』は主人公の大学教授の行動を淡々と描く。「世界中 ...
『湖のほとりで』:自分を記憶にとどめておいて欲しいという感情
ナンニ・モレッティ監督のもとで長らく助監督を務めてきたアンドレア・モライヨーリの長編監督初作品『湖のほとりで』は殺人事件の犯人探しの形式を取っている。ノルウェーの女流作家のミステリー小説を映画化した。モライヨーリ監督によれば、たまたま書店に行ったときに本 ...
東京国際映画祭コンペティション:「テン・ウィンターズ」、ヴェネチアを舞台にした十年愛
付かず別れずというぎこちないふたりが10回目の冬を迎えて、ようやく結ばれる。イタリアのヴァレリオ・ミエーリ監督の『テン・ウインターズ』はゆっくりと成長していく男女の腐れ縁をパッチワーク風に描いた。主演女優のイザベッラ・ラゴネーゼは『見わたすかぎり人生』でも ...
『ミルコのひかり』:映画の主人公はマイノリティでなければならない。ミルコは二重のマイノリティだ。
物語の主人公はマイノリティであることが必要だ。 『ミルコのひかり』は二重の意味でのマイノリティを描いている。銃の暴発で視力を失い、盲学校への転校を余儀なくされた少年ミルコ。彼は盲人というマイノリティに属する。 そして盲学校の規律を乱してでも自分の思う通りに ...