パオロ・ズッカ監督の『月を買った男』は、監督自身の生まれ故郷であるサルデーニャ島を舞台に、スラップスティックな笑いとシニカルな風刺が同居するコメディーである。サルデーニャ島の誰かが月を所有したという未確認情報が世界中の諜報機関を駆け巡る。真偽を確認するた ...
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『女性の名前』、イタリア映画祭
[2018/92分]原題:Nome di donna監督:マルコ・トゥッリオ・ジョルダーナ Marco Tullio Giordana出演:クリスティアーナ・カポトンディ、ヴァレリオ・ビナスコマルコ・トゥッリオ・ジョルダーナ監督の『女性の名前』は、セクシャル・ハラスメントをテーマに、権利と尊厳を ...
『帰ってきたムッソリーニ』、イタリア映画祭
ルカ・ミニエーロ監督の『帰ってきたムッソリーニ』は、かつての独裁者ムッソリーニが現代のローマによみがえったことから巻き起こる騒動を描く。売れない映像作家が、復活したムッソリーニをカメラに偶然収めたことから、彼を主役にしたドキュメンタリー映画を制作しようと ...
『ルチアの恩寵』、イタリア映画祭
[2018/110分]原題:Troppa grazia監督:ジャンニ・ザナージ Gianni Zanasi出演:アルバ・ロルヴァケル、エリオ・ジェルマーノジャンニ・ザナージ監督の『ルチアの恩寵』は、信念を貫こうとする女性を不思議な展開と軽妙なタッチで描く。シングルマザーのルチアは、一人娘の ...
『私の娘よ』、イタリア映画祭
ラウラ・ビスプリ監督の『私の娘よ』は、育ての母と生みの母、少女の三角関係を通して母子の絆について問いかける。10歳の少女ヴィットリアは、サルデーニャ島の小さな村で彼女を愛するティーナと暮らしていた。ある日、ティーナとは正反対の気質の女性アンジェリカに出会い ...
イタリア映画祭開幕、イタリア映画の新作14本を上映、タビアーニ兄弟、オルミ監督の追悼上映も
イタリア映画の新作を上映するイタリア映画祭が、26日から東京都千代田の有楽町朝日ホールで始まった。(2018年4月26日、有楽町朝日ホール)(矢澤利弘) ...
『カプリ島のレボリューション』、イタリア映画祭
マリオ・マルトーネ監督の『カプリ島のレボリューション』は、第1次世界大戦開戦前のカプリ島を舞台に、ヤギを飼って暮らす20歳のルチアが島民との交流を通じて新しい生き方に目覚めていくさまを描く。カプリ島は伝統的で、女性軽視の風習が残っている。一方で、自由と進歩 ...
『盗まれたカラヴァッジョ(仮題)』、イタリア映画祭
ロベルト・アンドー監督の『盗まれたカラヴァッジョ(仮題)』は、実在の事件を元に描くサスペンス。映画プロデューサーの秘書ヴァレリアは人気脚本家アレッサンドロのゴーストライターを務めている。ある日、彼女は謎めいた男から1969年から未解決となっているカラヴァッジ ...
GWの恒例となったイタリア映画祭、新作14本を上映、来日ゲストのサイン会も
新作のイタリア映画を紹介するイタリア映画祭が、4月27日から5月4日まで、東京・千代田区の有楽町朝日ホールで開かれる。今回上映するのは、2018年以降に製作された日本初公開の新作14本。加えて、昨年死去したヴィットリオ・タヴィアーニ監督とエルマンノ・オルミ監督を追悼 ...
『かけがえのない数日』、人生の岐路に立つ4人の若い女性たちの数日間の旅路、イタリア映画祭2017
人生も後半に差し掛かると、ただ友人たちと一緒に過ごした時間がとても懐かしいと感じることが誰にもあるはずだ。ジュゼッペ・ピッチョーニ監督の『かけがえのない数日』は人生の岐路に立つ若い4人の女性たちのほんの数日間のロードムー ...
『いつだってやめられる マスタークラス』、高学歴ワーキングプアの研究者ギャングたちが今度は警察と組む、イタリア映画祭2017
研究者ギャングたちが今度はマッポの手先に。『スケバン刑事』か、はたまた『ターミネーター2』か。シドニー・シビリア監督の『いつだってやめられる マスタークラス』は、高学歴ワーキングプアの研究者たちが脱法ドラッグを密造して一儲けす ...
『切り離せないふたり』、結合双生児の姉妹は切り離さないほうが幸せなのか、イタリア映画祭2017
珍しい特殊な姿をしていることは、本人にとってよいことなのだろうか。ごく普通の姿になることで失うものも多そうだ。エドアルド・デ・アンジェリス監督の『切り離せないふたり』は結合双生児の姉妹の心と体の物語である。ビオラとデジーは腰や太ももが結合した結合双生児の ...
『幸せな時はもうすぐやって来る』、過去と現在、現実と伝説がない混ぜになった脈絡のない映像世界、イタリア映画祭2017
夢を描いたのだろうか。想像力が必要な映画である。アレッサンドロ・コモディン監督の『幸せな時はもうすぐやって来る』は、一貫したストーリーを把握するのが困難だ。ストーリーなど無いのかも知れない。だからといって、特段の映像美があるわけではない。過去と現在、現実 ...
『ピューマ』、10代のカップルが出産を迎えるまでの9カ月間の物語、イタリア映画祭
子供を産み、育てることは人生の終わりなのだろうか。ロアン・ジョンソン監督の『ピューマ』は、10代で子供を産むことになった若いカップルの出産までの9カ月間を日記風に描く。若いカップルのカテとフェッロ。カテが妊娠し、ふたりはフェッロの実家に居候することになる。ふ ...
『花咲く恋』、未成年更生施設のなかで芽生えた切ない恋のゆくえ、イタリア映画祭
最初はどうしようもない奴だと思っていたが、次第に愛おしくなってきた人間は、あなたのそばにはいないだろうか。クラウディオ・ジョバンネージ監督の『花咲く恋』は、未成年更生施設で知り合った男女の切ない恋のゆくえを描く。携帯電話強盗で生活していた少女ダフネは警察 ...
『告解』、G8財務相会議でIMF専務理事の死亡事件に巻き込まれた修道士、イタリア映画祭
修道士は懺悔で知った秘密を決して口外してはならない。ロベルト・アンドー監督の『告解』は、バルト海に面した高級ホテル内での政治的な駆け引きに巻き込まれた修道士の言動を通じて、人間のあり方を描く。ほぼホテル内だけに限定して物語が展開する静かな会話劇である。G8 ...
『ジュリアの世界』、エホバの証人をモチーフにした少女の心の解放の物語、イタリア映画祭
厳格な小さな世界で生きることを選択するのか、それとも俗だが広い世界で生きていくのか。マルコ・ダニエリ監督の『ジュリアの世界』は、エホバの証人というモチーフを使って、ある少女の心の再構築を描いた作品である。 エホバの証人の敬虔な信者である両親を持つ少女ジ ...
『愛のために戦地へ』、第二次大戦下の恋愛譚を通じてマフィアの暗部を描く、イタリア映画祭
ごく単純な恋愛譚がマフィアをめぐる激動のイタリア近現代史に昇華していく。その見事な構成と映画的筆致に脱帽せざるを得ない。ピエルフランチェスコ・ディリベルト監督の『愛のために戦地へ』は、第二次世界大戦下のシチリアを舞台に、主人公の恋愛事情を主軸にしつつ、 ...
『俺たちとジュリア』、敗者たちの起業物語、イタリア映画祭2016
日常生活に不満を持った男たちが再起をかけて新しい事業に乗り出す。よくありそうなストーリーだが、タイトルの一部分にもなっている「ジュリア」がワンポイントになっている。 『俺たちとジュリア』は、喜劇俳優として活躍しているエドアルド・レオが監督した敗者たちの ...
『地中海』、移民の厳しさと悲劇、イタリア映画祭2016
ジョナス・カルピニャーノ監督のデビュー作『地中海』は、移民という今日的な問題にリアルな演出で迫る。カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品されたのをはじめ、世界の多くの映画祭で上映されている。 ブルキナファソの青年2人は、より良い生活を求 めてヨーロッパに ...